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― 五色の世界 2―
「荒療治――ですか?」
天心は黒い球体に返答して苦笑をこぼす。
「でも、そろそろこうしてあげないといけなかったんですよ。創り主としての愛情が勝っていると気付いたときから――いいえ、きっと蒼龍を泣かしてしまったあの時から、心のどこかで考えていたことですからね。今はかわいそうでも、これでよかったんですよ。白虎にとっても、勿論私にとってもね」
黒い球体――玄武は、幼い頃の白虎や蒼龍のように身体を持たないながらも、その意志や主張ははっきりと表現できるようだった。天心に答えるように、黒い輝きをざわざわと動かしている。
「……蒼龍ばかりかわいがっている? おや、あなたもやきもちをやくんですか。困りましたね」
笑いながら天心は己の言葉にぼやいた黒い球体を撫でる。
「みんな、同じですよ。私が大切に大切に創ったものですよ? ただ独りだった私を支えてくれる大切な存在です。みんな、同じに愛しいのですよ」
そう言った天心の左手に、大きな力が脈打ちはじめた。激しく、熱く、まばゆい光を発しながらそれは大きくなっていく。しばらくの間、手のひらから落ちそうに、飛び出しそうになりながら、次第にその光は一定のリズムを紡ぎだし、やがて集束していった。そして光の中から玄武と同じ形のものが――鮮やかな朱色の球体が現れた。
「あなたひとりでは寂しいでしょう? 朱雀です。仲良く一緒に大きくなりなさい。蒼龍も白虎も、今は自分のことで精一杯でかまってはくれないでしょうから」
私のせいなんですけどね――苦笑を浮かべて天心は玄武に言った。
天心は新たに創り給うた二つの色に、身体も性も与え給わず。代わりに、彼の御柱たちが自ら好きな姿を選べる、自身を決める自由を授け給うた。彼の君が白虎から奪われた自由を――蒼龍のように自身の力で『大切な誰か』を見つけられるように、と。彼の姫神にしてしまった過ちを繰り返さぬように。
「みんな、等しく愛しいのですよ」
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