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― 琥珀の瞳 4―
ひとしきり泣いて、白虎は天心の気持ちを自分なりに理解して落ち着けることが出来た。けれど、これだけはどうしても拭い去ることが出来なかった。
(それでも……私だけ『特別のスキ』をもらいたいの……)と。
他の四神たちと同じ愛では、どうしても足りないと思ってしまう。そしてその思いは、天心から拒絶されているのではないかと、いつか再び自らを追いつめてしまうことだろう。
そう思った白虎は、彼の君の想いに納得をする前に『最後にひとつだけ』と、願いを伝える。
「貴方の色を、私にください」
陽の色の瞳を真っ直ぐに見つめ、心から切に願う。その深い思いに声はか細く震え、白銀の瞳は再び潤んでいった。
それぞれ天心が創った色を与えられ、その色だけを持つ四神。天心がそれぞれのためだけに創り与えた色。その色を与えられたことは嬉しくとも、他の三柱にとってもそれは同じこと。ならば、彼らにないものを天心にもうひとつだけ、自分だけに与えて欲しいと白虎は願ったのだ。それで、自分の内にたぎる想いも納得するだろう、させられるだろう、と。だから、どうしてもこれだけは叶えてほしい――天心が欲していた白虎としての最後のわがままだった。
「……目を、閉じなさい」
天心に言われるまま、白虎はそっと白い睫を伏せた。やわらかな陽射しが瞼にあたっているように暖かく、眩しい。
「私も、あなたの色を貰いましょう」
天心の囁きが閉じた瞼の上で聞こえる。そして、両の瞼に天心の唇がゆっくりと触れていった。
天心に促されて白虎はゆっくり瞳を開ける。天心が鏡を目の前に創りだし、静かに微笑んだ。
「あなただけの、私の色ですよ」
「私だけの……?」
白虎の瞳は、光の加減によって濃くも薄くもなる不思議な色になっていた。天心の瞳の色――陽の黄金色とも少し違う、まさに天心の言い表すような色だった。
「……そうですね……」
天心は暫く口の中で何かを呟いてから微笑んで言った。
「その色はコハク――その二つの石の色は『琥珀』と名付けましょう。白虎のためだけの私の色」
「……琥珀……私の……瞳……」
天心は頷いて、両の手に乗せた二つの白い石を見せて言った。
「そして、私はこの石を――あなたに授けたこの色を身に着けていきましょう。ずっと」
これが、私たちだけの『特別』になりますか?――そう言って天心が白虎の琥珀にもう一度口付けた。
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