■効果的な猫の手懐け方教えます。

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(ななな、何でこんなことになってるんだろう?)
 すっかり暗くなった外の風景を眺めながら、コハクは困惑しつつも警戒態勢に入っていた。
 現在、彼女はあまり面識のない男と二人っきり、走る密室の中にいる。
 うっすらと残っていた空との境界をなくし、山々は黒の中に溶け込んでしまった。さっきまで点在していた家が完全になくなり、本格的な山道に入ったようだ。すれ違う車もなければ、センターラインもなくなり、対向車が来たらそれはそれでほっとするような気がしないでもないが、車をぶつけず無事にすれ違うことができるのかどうか、そっちが心配でもあった。
 ヘッドライトが照らす狭い視界をものともせず、慣れた様子でギアを変える隣の男はいかにも「男」と言う感じだ。がっしりした体躯、骨ばった手。力ではどう考えても敵うはずもない。
 急カーブの上り坂を登りきって、平坦な道になったそのとき、車は不意にスピードを落とし、停められた。
(なななな! 何!?)
 「……」
 男は無言でサイドブレーキを引いて、助手席のコハクへ視線を移した。狭いシートの上で男は身体を助手席に向ける。伸ばされる筋肉質な右腕。
 コハクはこの車にのってしまったことを激しく後悔した。

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