雨上がりの朝に

プロローグ



 雨の日は気分が良い。
 こう言いきれる人は果たしてどのくらいいるのだろうか。
 例えば雫と同じ若い女性たち――髪がまとまらない。泥のはね上げが気になる。通勤通学の混雑時に邪魔な傘――等々、割合的には雨を敬遠する意見のほうが多いわけで。
 ましてや人生の節目となる日の雨を喜ぶ人は稀だろう。
 中学卒業の今日、まるで新しい雨具を買ってもらったばかりの子供のようにこの天候を喜んでいる初芝雫は、はっきり言って珍しい趣向の方ではないだろうか。

 卒業――別れの日。旅立ちの日。
 ちょっとだけ特別な初芝家の一日が、はじまる。